滋賀県高島市今津町に移り住んで、30年になります。
二十歳すぎまで、大阪、京阪神に住んでいましたが、二十歳を過ぎて各地で陶芸技術を修得したあと、高島市に工房を開きました。
この30年間、実際に体験してきたことから、地方移住のメリット、デメリットをお伝えできればと思います。
移住先、滋賀県高島市とはこんなところ

滋賀県高島市は、南は大津市、西は京都市、北は県境の山で福井県と接し、東は最北端で長浜市と接する以外はすべて琵琶湖に面しています。
山と湖に挟まれた田園の広がる、南北に細長い土地です。
電車で、京都へ1時間半、大阪へは2時間で行ける点で地方と言えるかは微妙なところです。
自然が広がる中の建物や田園の風景、人や車の量などを考えると、京阪神近郊とは違い十分に地方の町と言えるでしょう。
高島市を移住先に決める
移住先を高島市に決めた一番のメリットは、土地が安かったことです。
資産としては、デメリットですが、これから工房を開くのに費用をできるだけ抑えるためにはとても助かります。
そして、選んだ土地の景観がとても気に入ったこと。
木々に囲まれた山裾の小高い地から、眼の前に琵琶湖が一面広がっていました。

移住しはじめに経験したメリット、デメリット
まず気づいたのは、はじめの印象以上に自然の環境が都市部や郊外とは全く違うことでした。
木々に囲まれ、いつも湖面を眺められる日々は、心に余裕を持つことができて自然と対話する時間が生まれました。
自然に溶け込むようなゆったりとした時が流れます。
そして、人の数が少ないこと。
疲れやストレスを感じることが、少なくなりました。空気の密度がゆるいという感じです。
冬は、滋賀県の中でも最北に位置するために北陸福井の気候に似ています。
移った年、近所の人から落ちてくる屋根雪対策に雪囲いを設けるようアドバイスをもらったりもしました。
雪かきの道具や、車のタイヤの備えは必須です。
車も、四駆車であればより安心です。実際、どんな雪の状況にも対応できるので、気持ちに余裕ができて大雪の冬は助かりました。
大変なことばかりではないです。特に子どもが小さい頃は、工房の前の傾斜でそり遊びができたり、雪遊びを存分に楽しめます。
すべての音が一面の雪に吸い込まれ、シーンと静まり返り、時間がとまったような中での一服もいいものです。
スキー場も近場に数カ所あります。
高島市が位置する湖西地域は、南部では比叡おろしが、北部では福井との県境から強風が吹き下ろすことがよくあります。
こんな時は、湖西線が止まりがちです。このあたりは、地方特有の車社会なので影響は限られるとはいえ、毎日電車で通勤通学する人や、都市部へ電車で出かけた帰りには注意が必要です。

移住先の生活に馴染んでくると分かるメリット、デメリット
これまでの経験から、子どもを介してのつながりがあると地域に自然に馴染んでいきやすいようです。
子どもが小学生ぐらいだと、学校絡みで人との関わりも増えて、周囲に溶け込みやすくなります。
行き帰りの見回り当番や、資源回収でのサポート、地蔵盆や左義長まつりなど地区行事で親同士が接触する機会も多くあるでしょう。
子どもが友達同士だと、親同士も、表面的でなくそれぞれの生活を介した付き合いがしやすくなります。
人とのつながりが増えていくと、その土地ならではの情報も色々と入ってくるでしょう。
家周りの設備に関する業者や店、街の小規模なイベント、一度行ってみるといい場所など。
その土地での生活に馴染んでくると、湖や林が、それまで以上に日常に溶け込んでいることが気持ちを落ち着かせてくれます。台所やリビングで作業の合間にふと見上げると、窓から湖面や葉陰が目に入ってくるのにやすらぎます。
住み慣れてきて、それでもなお困ることは、やはり店が少ないことでしょう。
スーパーやドラッグストア、ホームセンター、家電チェーン店などはあり普段の生活には困りません。
ただ、気の利いたものや趣味的なものになると近場に店がありません。
大津や京都まで出かけることになります。
最近は購入するものが決まっていれば、ネットを利用できるのでそれほど不便は感じなくなりました。
それでも、実店舗でのショッピングを楽しみたい人には、デメリットになるかもしれません。
一方、野菜類は豊富で安く手に入ります。
季節の野菜は無人販売所でさらに安く買えますし、近所の農家の人からとれた野菜をもらったりするのも助かります。
もう一つ、日常的に不便なのは交通機関が少ない上に、本数が極端に少ないことです。
そのため、普段の移動にも車が欠かせません。
一家に複数台の車が必要にもなってくるので、車にかかる経費が馬鹿にならないのがデメリットでしょう。
移住先でのメリットは、積極的に生活を楽しむことから

高島市でも、人口減少や高齢に対応するための地域創生の意識が各年代で共有されつつあるようです。
地域を活性化する活動に、楽しみながら自分でもできることから関わってゆくのもいいと思います。
最近、地方都市では店やアウトドア施設、工房などが中心になって、手づくり市のようなイベントをよくやるようになりました。
全国的な手づくり市ではプロの作り手のみの出店という制限がありますが、小規模の手づくり市では、趣味の作品の出店もできます。
趣味で得意なものがあれば、アクセサリーや身の回りの雑貨などを出してみるのもいいでしょう。
一度出すことで作り手同士のつながりもでき、次の出店へと広がってゆきます。
積極的に楽しむことで、人の輪を介して町の生活により馴染んでゆくことができます。
土地に馴染むことで、自分にとっての新たなメリットを見つけることもできるのです。
イベント出店などでなくても、自分の趣味や生き方にあったサークルや活動に参加し、人とのつながりを作ってゆくのもいいでしょう。
地方生活のデメリットには、気象状況や交通事情など、一人では対応できないことも多くあります。
町の生活に馴染み、人との自然な関係を作ることでデメリットも小さく抑えることができるのです。
高島市への移住は、こんな人におすすめです
都会には都会の魅力があって嫌いではないけれど、少し不便でも、日々の生活はゆったりとした自然に囲まれて暮らしたい。
そんな人に、高島市は都会との適度な距離感という点でもおすすめです。
雪かきや草刈りも、自然の中で体を動かす実感を得られ楽しいものです。

コメント